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トンネルを抜けたら 〜MFCT岡山☆夏ラウンド〜


ジムカーナでもサーキットでも時々表彰台には乗ってたのですっかり忘れてましたが,「優勝」からはかなり長い間,遠ざかってました。

前回優勝したのは,3年前の6月,父親が亡くなった直後の地区戦でしたから,それ以来,ちょうどもう3年優勝してなかったんですね。


思えばあの頃は,スポット参戦した全日本でも優勝したりして,自分のモータースポーツ人生の中でも最も「速かった」季節でした。走りにも自信があふれていて,優勝はともかく走れば少なくとも表彰台には必ず乗れる,そんな感じで,実際かなり思い切りの良い走りができていました。

あのままずっと走り続けていればなぁ...と思うこともありましたが,その年の後半には勤め先を退職して独立開業するという人生の大転機があり,シーズン途中でいったんクルマを降りて活動休止せざるを得ませんでした。


そしてひたすらお仕事に邁進し,事業が安定し嫁様からも復帰許可が出て,1年ぶりに競技に復帰した時にはもうすっかり季節は移り変わっていて,おとーさんは「勝てない」ドライバーになってしまってました。長い長いトンネルの始まりです。

ここからの1年半ほどは本当に苦しかったですね。表彰台にすらなかなか届かず,走りそのものとは違うところでも競技関連でいろいろイヤなことがあって,もう何度も走るのを止めたくなりました。

それでも走り続けるためジムカーナ公式戦の世界とはきっぱり決別し,新天地を求めてサーキットを走り始めたのが昨年末のマツダファン・サーキットトライアル@岡山国際でしたね。結果はともかく,気分はスッキリ,走る楽しさを取り戻すことができました。

あれから半年。

こつこつとクルマをいじり,そして自分自身もちょっとずつ経験値を積み重ねながら半年振りにまたこのマツダファン・サーキットトライアル@岡山国際,夏ラウンドにやってきました。さあ,梅雨の長雨は上がるのか。勝ち星なしのトンネルは終わるのか。



お天気予報では曇り空とのことでしたが,朝もやが薄れてきたサーキットの上空はスッキリ晴れ上がっており,灼熱の1日が予想されました。しかも今回はスーパーF3やGT ASIAなどメジャーレースとの併催のためサーキットパドックを使うことができず,参加者全員が青空パドックです。暑くなるぞお〜,これは。

おとーさんが走る第2組はデミオ,NA&NBロードスター,アクセラ,アテンザ,MPVなどいろいろな車種が入り乱れて22台も走ります。エントリー時の自己申告タイムでゼッケンが決められており,おとーさんは前から7番目のゼッケンです。

エントリー時には,とりあえず半年前の2分5秒をちょっと上回る2分4秒という数字を目標として書いてたんですが,クルマの仕様が大きく変わったことを考えると,2分4秒は達成できて当然。むしろ2分3秒,2秒台を目指さないといけません。


今回履いてきたタイヤはジムカーナ時代からずっと愛用してるTOYOのR1R。

世間で言われているほど熱に弱いタイヤではありませんが,さすがに「熱に強い」ということはない。夏場のサーキットでは5周もすればタレタレでしょう。また,今日のこの気温を考えるとおそらく午後にはいくらがんばってもタイムはもう上がらない可能性が高い。ということは...午前のセッションの開始後5ラップが今回の勝負どころ。

ただこのサーキットを走るのはまだ2回目。しかも半年ぶり。走行開始5周でベストを出すのは至難の業でしょう。タイヤのパフォーマンスが落ちてくるまでの数ラップで,素早くコースに慣れて自分のパフォーマンスを発揮できるかどうか...難しい課題です。

とりあえず,コースに出たアウトラップでできるだけ前車との間隔を開け,計測開始後数ラップの大事なところで抜いたり抜かれたりのないようにしたい。そう考えて走り出しました。



※撮影:のりおさん Special Thanks!です


しかし,ここで大失敗。

ややゆっくり目に走って前車との距離が程よく開いてきたな,というところでバックストレートで後から2台のクルマに追い抜かれてしまいました(泣)。

エントリー時にもらう「参戦アドバイス」にはアウトラップとチェッカー後のラップでは前車がよほどのスロー走行をしてない限り原則的に追い越し禁止と書いてあるのですが...よっぽどスロー走行をしてるように見えたんでしょうか。前を開け過ぎだったんでしょうか。一応普通に走ってたつもりなんですが...デミオはストレート遅いからなあ。

さらにゆっくり走ってもう一度前を開けようかとも考えましたが,後に渋滞を作ってしまうかもしれないし,そんなことやっててさらに後のクルマに抜かれてしまうと,開始後の一番大事な数ラップをダンゴ状態で走ることになるのは必至。デミオはストレートが遅いので他車種を抜き返すのは大変。結局,この2台がおとーさんよりも速いことを祈ってついて行くしかありません。


ダブルヘアピンから十分に姿勢を作り,しっかりトラクションをかけて全開でホームストレートに立ち上がります。すぐ目の前に2台が走ってる状態で計測に入ります。

アウトラップでぶち抜いて行くぐらいだから,アンタ達よっぽど速いんだろうねえ? (;・∀・)
頼むよ,しっかり前に行ってよ。


しかし。

案の定,というか,危惧した通り,この2台よりおとーさんの方が微妙に速い。しかもストレートでは向こうが速いので抜くに抜けないサイアクのパターン。

やれやれ。結局コーナーで差を詰め,こちらの存在を精一杯主張しつつ抜き返し,元のポジションに復帰するのに4-5ラップを消費。レースじゃないんだけどなあ...そしてやっと前が開けた時にはもうタイヤが終わりかけてるという有様。本日はこれにて終了であります(泣)。


温厚そうに見えて実は非常にホットな性格のおとーさん(笑),いささかムカっときて思わず舌打ちしましたが,いやいや,まあその2台のドライバーさんに文句を言ってもしょうがない。アウトラップでチンタラ走ってたら抜かれますよ,そういうことなんですね。

レギュレーションとか約束事には常に解釈の幅がある。アウトラップでは全力疾走しなくても抜かれないだろうというのはおとーさんの勝手な思い込み。お買物車が前を大きく開けてチンタラ走ってたら「スローダウンしてる」と判断されることもあるんですよ。ひょっとしたら「迷惑な野郎だな」ぐらいに思われてたかもしれない。今度からはレースと同じぐらいもっと後のクルマの挙動に気を付けてアウトラップを走ろう。勉強,勉強。

...まあ,それでもおとーさん自身は相手がハザードでも出してない限り「抜くな」と書かれてる以上は追い抜きはしませんけどね。決して。


・・・・・・

結局タイヤがかなりタレた状態でアタックせざるを得なかった1本目。それでもベストラップは2分3秒390と目標の2分4秒を上回ることができました。

ただライトクラスで出場の108さん(天パさん)には0.1秒負けてます。したがってデミオ最速の座は彼に。改造度が高いためこちらの方がパワーは出てるはず。明らかに腕で負けてます。チクショー(笑)。2本目では何とか挽回するぞ...まあこの気温じゃタイムはもう上がらないだろうけど。




お昼休みのパドックはMAZDA車ユーザーのオフ会の様相を呈しています。スーパーF3やGT ASIAのタイスケもぼちぼち進められており,凄まじいエキゾースト音でしばしば会話を遮られますがそれもまた一興。デミオ仲間でいろいろおしゃべりが弾みます。

今回参加しているデミオは9台。エイトやロードスターに負けない一大勢力を形成しています。ATやCVTの人も多く,クラスもいくつかに分かれてます。MAZDAのスポーツカーと言えばセブン,エイトにロードスターでしたが,今やお買物車デミオも立派にMAZDAスポーツの一角を占めてますね。


午後になって気温はさらに上昇。明らかに30℃を超えてます。路面温度も50℃に達しました。こりゃもう午後のセッションではタイムは出ませんね。

ただ,F3やGTカーがスリックで走ってくれてるのでレコードライン上はうっすらラバーが乗って,路面側の物理的なグリップは若干上がってます。気温が上がってパワーダウンする分とある程度相殺してくれるかも。

とにかく午後のセッションは午後のセッションでデミオ最速を狙って行こう。その結果,午前のタイムを少しでも上回れたら言うことなし。ライバルの108さんは目の前のグリッド(2本目は1本目のタイム順に出走)。ついて行けるところまでついて行こう。


さあ,いよいよ2本目のスタート。
ロドスタ,アクセラ,デミオなどが1台,1台コースインして行きます。

2本目も当然ながらタイヤが美味しい状態にある5周目までが勝負。どういう展開になるか分からないので,前の108さんともある程度は距離があった方が良い。ただ1本目みたいにアウトラップで後のクルマに抜かされて間に入られたら元も子もない。1本目よりも高い速度であまり前を開けずに走ります。

にもかかわらずバックストレートではまたしても後のクルマがインから抜く体勢に入ってきますが,後をガン見しながらこちらもフル加速をしてポジションをキープ。カンベンしてよ...1本目でこちらの方がタイム速いの分かってるのに。こっちもちゃんと走ってるのに。レースじゃないんだよ...

...ま,ま,抑えて抑えて。カリカリしない。こちらのストレートスピードが遅いのは確か。冷静に行きましょう。


それでも何とかポジションをキープし,前の108さんともストレート半分〜1/3ぐらいの距離が開いた状態で計測ラップに入ります。

確かにコーナーでは1本目と大きな変わりは感じず,しっかりトラクションがかかってますが,ストレートエンドでやや上が伸びない印象。これはやっぱり気温のせいでしょうね。

少しずつ前の108さんとの差が縮まりながら2周目に突入。このラップで2分3秒404という1本目のベストと0.01秒差のタイムが出て,結局これが午後のベストになりました。また,午後のセッションではデミオ最速の座を奪うことができました。



※白飛びがひどく見難い画像でスイマセン;


108さんがクーリングに入って前が開けます。こちらもタイヤがタレかけてますが,まだ手は緩めず2ラップほどさらに攻め続けます。しかし明らかにストレートエンドが伸びず,タイムも2分3秒台半ば。そのうちにタイヤも本格的にタレてきてしまいました。オイルクーラーが入ってても油温が120℃を超え,R-Vitのワーニング音が鳴ります。

しかも車内がサウナ状態で暑い暑い。メットをかぶってても大汗をかいてるのがよく分かります。ちょうど黄旗も出ましたのでエアコンを入れ助手席の窓をちょっとだけ開けスローダウン。タイヤもオイルも室内もクーリングします。

汗のかき過ぎで妙な動悸がします。軽い期外収縮(不整脈)が出てるかな。やっぱり夏場のサーキット走行はきついですね。クルマを下りたらスポーツドリンクをがぶ飲みしないといけません。


・・・・・・

ただ,2周ほどクーリングしたおかげでデミ助も生き返り,おとーさんも若干気力が戻って来ます。よーし,もう一仕事,ぼちぼち行くか〜。ちょうど織さんが後に迫って来られてたので前に行ってもらい,ぼちぼち後を追いかけます。ダブルヘアピンを立ち上がってからエアコンのスイッチを切り,さあ戦闘再開。

しかしちょうどクーリングしてるクルマが増えて来てなかなかクリアが取れず,織さんとの間にも次々に別の車両が入ってくるためなかなか追いつきません。2ラップほどつかず離れずで織さんの走りを後から観察させてもらいます。

やはりキュートなママさんドライバーらしくラインがきれい。動きにも無駄なところがなくスムース。ちょうど中部のS1500のラスボス,ごま桃さんのヴィッツの走りを思い出しました。あの人もキュートなママさんドライバーでしたが無駄のないスムースな走りですごく速かったなあ。鈴鹿南の練習走行でご一緒させてもらったことがありますが,おとーさんや近畿S1500チャンプのライムM君が縁石にがつがつ乗り上げて必死で追い上げても1秒以上先をすいすい逃げられました。


やっとこさ織さんに追いつき,前を代わってもらってさらに数ラップ攻めます。しかしもうすっかりタイヤがタレてしまいフロントがグリップしません。アトウッドなど大事ないくつかのコーナーの入り口でフロントがぎゃーっと悲鳴を上げて逃げてしまいます。

しかしスーパーオーリンズをがちサーキット用に仕様変更してもらって以来,こういう場面でのブレーキングの分解能が高くなって,タイヤがタレてもそれなりにごまかしながら走れるようになりました。ショックの仕様が変わってブレーキングが良くなるというのもヘンな話ですが,前後Gのコントロールがしやすくなったということなんでしょうかね。

なかなかもうタイムを更新はできないものの,2分3秒台の後半を最後まで維持してチェッカー。
みなさんお疲れさまでした〜



※ゴール後にデミ助と108さん,織さんのデミオを並べて記念撮影,パチリ


結局,午前中のタイムはわずかながら更新ならず。午前のタイムで結果は確定です。

ベストは前回の2分5秒を大きく更新し2分3秒390。コンマ1秒及ばずデミオ全体の最速タイムは108さんの午前中のタイムに譲りましたが,デミオ&ベリーサMOREクラスの中では1位。久々...ちょうど3年ぶりの金メダルです。

長い長いトンネルを走り続けて来て,トンネルを抜けたらそこは雪国...ではなく灼熱のサーキットでした(笑)。


同じクラスで2位に入られた織さんと並んでの表彰。チームファインアート☆サーキット組の1-2フィニッシュですね。表彰会場のパイプ椅子の上にトロフィーとメダルを並べて記念撮影。

今回も表彰式でインタビューを受けることができました。

冬ラウンドに向けて,今度こそデミオ最速の座を勝ち取るべくがんばりまっせ!



※デミオMOREクラスは2位の織さんとチームファインアート☆サーキット組で1-2フィニッシュ



※美作市長賞はご当地お菓子の詰め合わせでした


帰りはまた中国道の事故渋滞に巻き込まれ,今回も六甲方面に逃げて神戸経由で帰りました。芦有道路をのんびり流しててもサーキット仕様のデミ助はがっちり路面をとらえてコーナーを右に左にすいすい走ってくれます。


思えばこいつといろいろなコースを走ってきました。

いろいろな峠道を走ってきました。

いろいろな表彰台に上がってきました。

この3年間のうちには本当に苦しい時期もありましたが,諦めずに走り続けることでまた表彰台のてっぺんに戻って来ました。



※芦有道路の展望台駐車場にて。小さいけど本当に頼もしい相棒です。


今日,3年間のトンネルを抜けて久々に金メダルを手にしました。長いこと指をかけたままだった人生のページをやっと1枚めくって先に進んだ気がします。

とんでもないポテンシャルを秘めたこの小さなお買物グルマが相棒だったからこそ今日があります。おとーさんにとって家族にも負けないぐらいの大事な大事な相棒です,こいつは。


さあもう来週はセントラルで草レース。

しっかりメンテしてやって...おとーさんとデミ助は次のページに向かいます。



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