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ハートを冷やせ


グアム行きの話が長くなってしまいましたが,クルマの話に戻りましょう。


もう1ヶ月以上前のことになってしまいましたが3月の20日に再び聖地,鈴鹿に行ってまいりました。2月の鈴鹿で深刻になってきた油温問題に対してオイルクーラーを導入,この効果の確認がメインの目的です。




オイルクーラーっていうと...このサイトを見てる人ならたいていどういうものか御存知だとは思いますが念のため...

エンジンは内部でガソリンをバンバン爆発させているためものすごい熱を出します。この熱を冷却水とエンジンオイルが冷やすわけですが,冷却水にはラジエーターという専用の冷却装置がちゃんとあるのに,エンジンオイルには基本的に冷却装置はありません。

これは何故かと言うと,冷却水がオイルの熱を冷ましてくれるので,通常の街中の運転では,冷却水だけでもエンジン全体の放熱は事足りるというわけです。

ところが,サーキットを連続してがんがん走ったりすると冷却水だけでは放熱が間に合わなくなってオイルの温度がチリチリに上がってしまい,一定以上の油温になるとエンジン内の潤滑や保護というオイルが持つ別の重要な役割を果たせなくなってしまいます(オイルにもよりますがだいたいこの時の油温が120℃ぐらいと言われてます)。そのため,エンジンオイルにも小さいラジエーターのようなパーツを後付けして積極的に冷やそうという,それがオイルクーラーです。


デミ助のサーキット仕様化は順調に進み,それなりのタイムは出るようになってきましたが,代わりにエンジンの発熱量も上がってしまい,鈴鹿を1ラップ全力アタックしただけで油温がこの120℃を超えるようになってしまいました。

エンジンに良くないことは分かってても,鈴鹿や富士のような1周が長いコースでクリアラップを取るためには,どうしても無理を押さねばならないタイミングが出てきます。前回の鈴鹿でもそんなことをやってる間に油温は最高で131℃まで上がってしまいました。

しかもこの季節でこれですから,これから暑い季節に向かって行くと...しかも草レースでサーキットをクーリングなしに10周とかしたらどんな恐ろしい油温になるか,考えただけでも涼しい気分になります。

ということで,勤め人時代からコツコツ溜めてたヘソクリももう底を尽きかけてますが,思い切ってオイルクーラーを導入したわけです。


他のメーカーからもデミオ用のオイルクーラーは発売されてますし,汎用品をオークションでポチっても良かったのですが,信頼性を重視して富士のデミオレースで実績があるDO.ENGINEERINGさんのオイルクーラーを購入しました。実はお値段も安い目だし,ラジエーター横へクーラーが来るレイアウトも冷却効率良さそうだし。



※この小さいラジエーターみたいなのがオイルクーラー


取り付けはいつもの如くDIY。1-2時間の作業かなと甘く見ていたら,狭いスペースでの作業に意外と手間取り,半日仕事になってしまったことはみんなには内緒だぞ。しかもどうしても素手でナットを支えないといけなかったりして手も小傷だらけ。ああ恥ずかし。

しかしオイルクーラーの効果は絶大。

サーキットに行くまでの高速でも,これまで普通に走ってても油温が100℃を超えてるのが当り前でしたが,1時間ほど高速を走っても油温が80℃を超えることはほとんどありませんでした。しかもサーモスタット付きなので街乗りでも70℃ぐらいまではすぐに上がり,冬場のオーバークールの心配もありません。こりゃいいわ。コースを走るのが楽しみ。


・・・・・・


鈴鹿には予定時間通りに着き,予約してあった朝一番と10時半からのビギナー枠を2枠申し込みします。

テーピングやアタックカウンターのセンサー取り付けなども早め早めに済まし,これまでよりも位置取りを意識して最初の先導ラップから積極的に列の前の方に並びます。

ちょうど春分の日。さすがに季節は春めいてきて,1月2月にここを走った時とは風景も違います。気温は17℃,路面温度は20℃。前回より10℃以上,高くなってます。

この気温,これまでならあっという間にオイルが120℃に達してR-VITからワーニング音が鳴り響くところですが...ここでオイルクーラーが本領を発揮。油温は上がってもせいぜい118℃までで,ちょっとペースを落とせばすぐに100℃以下に下がります。素晴らしい!

前回まではR1Rを履いてても,タイヤがタレるはるか手前でオイルが音を上げてましたが,やっと普通にタイヤがタレるようになりましたよ(笑)。


ただ,今回は何故かストレートスピードが伸びず,1コーナー手前でも171km/hがやっと(前回は177km/h)。1-2コーナーやデグナー,スプーンなどでこれまでよりがんばっててもタイムはなかなか縮みません。

1枠目は自己ベストにわずかに及ばない2分47秒3〜4のオンパレード。



※1枠目のベストラップ


助手席を外して(笑)臨んだ2枠目も,同じく2分47秒3〜4のタイムばかりが並びます。これまでよりも連続して攻められる分,タイヤもタレますし,ブレーキもフェード気味でペダルのタッチが甘くなってきます。

最後の最後,チェッカーぎりぎりに飛び込んだ最終ラップ,1-2コーナーを無難に抜け,S字は2つ目以外はスロットルを踏みっきり,デグナーもヘアピンもボトムを落とさないように走り,むかえたスプーンの入り口。

左にわずかにステアを切りながらフルブレーキング...ぐぐーっと前に荷重がかかり車速が落ちます。その時,

カコン!

という軽いショックとともに突如リアの挙動が乱れます。


車速が落ちてるとはいえ,100km/h以上出てる高速コーナーの真っ只中です。

とっさにブレーキの踏力を緩め,必死でステアを右に左に修正し,何とか暴れる車体をコース内に留めます。しかしやっと姿勢を立て直した時にはもうスプーン2つ目に入ってしまってます。スロットルオンのタイミングが完全に遅れてしまいました(汗)。


それでもこのラップは2分47秒40。スプーンでのロスがなければ間違いなく46秒台が出たはず...幻の自己ベスト更新となってしまいました。

リアの挙動が乱れた原因は...予想通り右リアのドラムのネジが1本,熱と振動で緩んでました。これまでにも経験のある症状です。2枠目の前にちゃんと確認すれば良かった。後悔先に立たず。

ただ,今回ストレートの車速が伸びない中でも自己ベスト更新の目途は経ちました。今年の秋以降のアタックシーズンに向けて大きな楽しみができました。


今回,ストレートで車速が伸びなかった原因についてはみんカラでもいろいろコメントをいただきました。

季節が変わってこれまでよりも気温,路面温度が上がり,タイヤのアドヒージョン(粘着性)が上がって走行抵抗になった,ということもありそうですが,DO.ENGINEERINGのT本さんに確認したところ,オイルクーラーを装着した際にオイル量の目測を誤り,オイルが規定量よりもかなり多目に入ってしまった,というのも大きかったようです。

実際,その後,オイルを若干抜いて油量を調節してから某所にてロガーで確認したところ,加速の曲線が元に戻りました。


しかしながら,オイルクーラーの効果はやっぱり素晴らしかった。

油温が一定以上上がらないため,安心して連続周回できます。これまでよりも明らかに多い回数,アタックできるようになりました。その反面,これまでタイヤやブレーキへの負担を下げるはたらきをしていた油温の壁がなくなり,タイヤやブレーキにはもろにシビアな条件になってきました。

あちらを立てればこちらが立たず。サーキット仕様のクルマは,パワーよりも何もよりも温度との戦いになる,と聞いたことがありますがまさにその通り。5月の草レースデビューに向けてブレーキの熱対策や,タイヤの銘柄の見直しが必要ですな。


しかしその前に,今週末はG6@名阪Cコース。

おお,名阪スポーツランドCコース! 何という懐かしい響き!(笑)

結局今年度,ジムカーナはこのG6が唯一のイベントになりそう。しっかり楽しんで来ようと思います。

熱くなったハートをオイルクーラーで冷やしながら,さあ,走るぞ〜!



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